第5章 非日常にさようなら
入ってきたのは五条家の戦闘部隊、その中でも一番下の者達だった。
彼らの服装を見て瞬時に把握した伽那夛がまず感じたのは落胆。
……やっぱり、私のことを心配なんてしてるはずないわよね。
もしこの場に父や母が来たのなら、少しは印象が変わったかもしれない。
けれど実際には違ったし、今目の前にいる彼らも伽那夛のことを目に入れないところを見るに、内心はなぜ自分達が行方知れずだった小娘を迎えに来なければならないのだと思っていることだろう。
予想できていたことだから、別にショックは受けない。
だが、
「ご苦労だった。さぁ、伽那夛様から離れなさい」
一言の感謝もない偉そうなその態度は伽那夛には我慢ならなかった。
「何よ、その言い方。大人として恥ずかしくないの?」
気づけばそう口に出していた。
「彼は私を助けてここまで送ってくれた。そのことに対してお礼の言葉もないなんてどういう了見よ」
「伽那夛様、私達とて何もしていなかった訳ではありません。方々探して……」
「嘘ね。今まであなた達に助けてもらった覚えはないもの。私が誘拐から自力で帰ってきたらいつもこう言うじゃない『また捕まるなんて危機感薄いな』って」
どうせ今回も家の周りを適当に探しただけだ。
彼らにとっては伽那夛の命より五条家への被害の方が大事なのだから。
図星だったのか、迎えの者達は口を噤む。
しかし頭の中では生意気を言う小娘だと悪態をついているに違いない。