第5章 非日常にさようなら
伽那夛が助手席に座ってシートベルトをすると、つい先程から気になって気になって仕方ないことを甚爾に尋ねてみた。
「……ねぇ、コーンポタージュ味のアイスって解かして食べるの?」
「んな訳ねぇだろ。凍ったまま食うんだよ」
神妙な顔で何を尋ねてくるのかと思っていたため、拍子抜けする。
伽那夛の言っているアイスを食べたことはないが、アイスになっているものをわざわざ解かすなど聞いたことがない。
それなら冷凍食品として売っているはずだ。
伽那夛はその答えを聞いて顎に手を当てて考え始める。
「あくまでアイスとして食べるのね……美味しいのかしら?」
「食ってみたかったのか?っつーかどこで見つけたんだよ?」
「車が停めてあった先に小さなお店があったでしょ?そこで見たのよ。最初は見間違えたのかと思ったけど、ちゃんとコーンポタージュ味って書いてあったわ」
コンビニという単語を知らずに“小さなお店”と言うのが妙に伽那夛らしくて、甚爾は思わず吹き出した。
「なっ、笑ったわね!?」
「小さい店じゃなくてコンビニな。くくっ、オマエ、本当世間知らずだな。初めて見た奇抜な味のアイスに驚いたのか?」
「それだけじゃないわ!あんな小さな店舗なのにお菓子とかパンとか飲み物はたくさん種類があるし、文房具とか日用品まで何でも売ってるのよ!」
目をキラキラさせて興奮気味に話す伽那夛。
これまで見てきた中でも特に子供っぽいその姿が面白くて余計に笑える。
無論、笑い続ける甚爾に伽那夛がプリプリと怒り出したのは言うまでもない。