• テキストサイズ

術師殺しと箱入り娘【呪術廻戦】

第5章 非日常にさようなら




ひとまず車に戻ろうと踵を返しかけたまさにその時―……


1ブロック先の路地から見覚えのある傷痕の男が歩いて出てきた。





伽那夛は思わず大声が出ていた。


「あ、いた!甚爾ーっ!」


大きく手を振ると見慣れた気怠げな顔がこちらを向く。


名前、聞いておいて良かった。





置いていかれた訳ではなかったという安心もあって、伽那夛は甚爾に駆け寄る。


「どこ行っちゃったかと思ったじゃない!」

「オマエ、車はどうしたんだよ?」

「?、どうもしてないわよ」

「車上荒らしし放題だな。盗られる物もねぇけど……」

ため息をついて頭を掻く甚爾に首を傾げる伽那夛。

「どういうこと?」

「車を置いていく時は鍵かけろって話だ。盗られる物はないが、何か仕掛けられてるかもしれねぇ」

「なっ、そういう大事なことは先に言ってよね!」

「オマエがおとなしく車で待ってりゃよかったんだよ」

「だ、だって……置いてかれたかと思ったから」


顔を俯けてモゴモゴとした小声だったが、甚爾にはしっかりと聞こえる。


「置いていくんならオマエを車から降ろしてるよ。徒歩で帰るのはさすがに怠いし」

「た、確かにおかしいとは思ったけど、どこにもいなかったから探してたの。でも、見つからないし……もう少しで1人で帰ろうかって考えてたんだからね」

「はいはい、黙っていなくなって悪かったな」


投げやりな謝罪にむくれる伽那夛だったが、自分も寝ていたのでこれ以上文句は言えず、素直に甚爾の後をついていった。








車まで戻ると、甚爾は早速車の周囲と車内をくまなく見て回る。


第三者の足跡や匂いを探すが怪しいものはなく、車中に毒物や発信器などを仕掛けた形跡も見当たらない。



「……とりあえず何も仕掛けられてなさそうだ」

「呪術的に何かされてる痕跡もないわよ」

「ならさっさと行くぞ」



/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp