• テキストサイズ

術師殺しと箱入り娘【呪術廻戦】

第1章 微笑―月下の君―



……ありゃ誰だ?


ターゲットの男には娘はいない。

顔立ちも骨格も似ていないから親戚でもないだろう。



仕事柄、依頼人とターゲットのみならずその関係者も一通り顔と名前は覚える。
頭の中にある関係者リストと照合するが、誰にもヒットしない。

だが、確かに見覚えのある顔だ。
しかも以前会ったとかではなく、この仕事の関係で見た……




「ああ、まさに月下の君……!私はついに手に入れた!」


初老の男―館の主人の言葉に甚爾ははたと思い当たった。



そうだ、あの絵に描かれた女に似てんだ。

とは言ってもあの絵画は成人女性、こっちは見目が整ってるとはいえまだ少女だし、化粧っ気もない。

明らかに別人だと判別できる。


しかし、ここの主人は少女を絵画の中にいる女としか見れなかったようだ。

少女に何度も叩かれ、蹴られているのに懸命に手を伸ばして触れようとしている。




「ちょっと人の話聞いてるの!?こ、こっち来ないでよ!」


いい加減気味悪くなったのか、少女の威勢は落ちるばかり。


どっちも殺すべきか?
ガキでも目撃者は厄介だからな。

……となると死体の処理が少し面倒か。






「来ないでってば!む、無理ーっ!!」



ついに耐えきれなくなった少女は走って書斎を飛び出した。


当然、書斎の外にいた甚爾と鉢合わせる形に。

勢いよく飛び出してきた少女の利発そうな黒い瞳と目が合う。



/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp