第3章 冷たい激昂
「ちょ、どこ行くのよ!迎え撃つんじゃなかったの!?」
「こんな所で迎え撃つつもりだったのか?バカ正直にも程があんだろ」
「ば、馬鹿にしないで!」
「じゃあ何なんだよ?例えばさっきのコンビニで迎え撃ったとして、奴らを派手に蹴散らすのか?周りの人間に警察呼ばれるだろ。それに非術師を人質にでも取られてみろ、オマエが奴らの言いなりになっちまうのが目に浮かぶね」
「なっ!?」
あまりの言い様に伽那夛は絶句する。
けれど確かに彼の言っているような状況になれば、相手の要求を飲んでしまうかもしれない。
「だからできるだけ人のいねぇ場所で迎え撃つんだよ」
「……分かったわよ」
人気のない細い道を選んで車を走らせながら、今のうちに伽那夛に情報共有しておく。
「奴らは全部で7人、やれるか?」
「見えたの!?車の窓真っ黒だったじゃない」
「フロントガラスから確認できた限りな。後ろに隠れてる奴がいるとするともう1、2人ってとこか。ただ、オマエを連れ去る目的ならそのスペースは空けとくはずだ。……それより俺は手伝う気はねぇぞ。1人で7人相手できるか?」
「できるわよ!……そりゃ、相手によるかもしれないけど」
後に付け足された言葉に甚爾は小さく吹き出した。
「頼りねぇ返事」
「だってそうでしょ!?どんな術式持ってるか分からないし、相手するにも相性の良し悪しはあるわ」
冷静なのか、単に正直なだけなのか、
多分両方なのだろうが、術師は嘘八百並べて本心を隠す者が多いだけに、彼女の言動は素直すぎるといっても過言ではない。
コイツ、あんま術師に向いてねぇだろ……
だがそれを言えばまたうるさいので口に出さないでおくことにした。