第3章 冷たい激昂
しばらく車を走らせていると、否が応で状況が変わってくる。
「……ねぇ」
「なんだよ」
「これ、前後挟まれてるんじゃない?」
前には黒いセダン、後ろにはずっと前から後を尾けてきていた白いワゴン。
2台とも嫌がらせのように減速やパッシングを繰り返している。
チッと舌打ちした甚爾に伽那夛はやっぱり、と肩をすくめた。
「ほら言ったじゃない。迎え撃つのが正解だったでしょ?」
「面倒くせぇなぁ」
だがこのままでは無理やり車を止められるのも時間の問題だ。
こんなところで戦いになれば大騒ぎになることは必至、最悪一般人を人質にでも取られれば割と素直な伽那夛は相手の言いなりになりかねない。
……となるとなるべく人のいない場所に移動するのがいいか。
向こうも目撃者は少ない方が得だから、おとなしくついてくるはずだ。
「ちゃんと掴まってろよ」
「え?……わっ、ちょっと!?」
ウインカーを出さずに急ハンドルで交差点にあったコンビニの駐車場を強引に突っ切り、側道に出る。
白ワゴン車は少しもたついたがついてきた。置いてけぼりになった黒のセダンも慌てて追ってくる。
その一瞬で甚爾はバックミラーを見て追手の人数を確かめた。
1、2……黒のセダンは3人、ワゴン車には4人か。
銃火器はなさそうだが……
仮に乗っている全員が術師だとすると、術式によっては銃火器より面倒だ。