第1章 喧嘩別れ
悠side
病院に着くと救急車が何台も停まっていた。
それだけでなく、受付も血だらけの患者でごった返し状態だ。
急いで白衣を来て救命室に向かう。
「遅れました!患者の容態は?」
救命室に入ると滅菌手袋をし、患者の様子を伺う。
モニターの波形は乱れていてレートもかなり高い。
頻脈状態だ。
肩からの出血及び吐血あり。
肩は何かに抉られたような跡がついていた。
「何があったんだ?」
「先生!急に知らない男に首を噛みちぎられたらしくて......今この病院に来ている患者さんの9割が同じような状況で......!」
噛みちぎられた?
抉れた部分を見ると、出血が止まらず骨も見えていた。
意識もほとんどない。
「酸素確保して止血。急いで。」
「はい!」
これは恐らく助からない。
だが、出来ることはする。
それが俺の仕事だ。
しばらくするとその患者は息を引き取った。
一人一人に感情移入をしている場合じゃない。
患者は次から次へと入ってくる。
やはり、どの患者も同じように体の1部を噛みちぎられたような跡があった。
病院に運び込まれた人達は全員息を引き取って行った。
あっという間に死体だらけの病院へと変わってしまった。
「きゃー!」
悲鳴のする方を見ると、もう人間では無い姿の人が次々と人肉を噛みちぎっていくのが見えた。
まずい、あれが中に入ってきたらもっと大変なことになる。
「病院の入口を全て締めろ!あれを入れるな!」
俺は全員に聞こえるように大声で叫んだ。
それを聞いた人々は急いで入口を封鎖する。
なんなんだ、あの化け物。
あいつが原因なのか?
考えていると次々と化け物は増えていった。
一体だけじゃないのか!?
俺はバリケードを作るように全員で協力して入口を塞いだ。