• テキストサイズ

【R18】アンデッドラブ

第1章 喧嘩別れ


零音side

家を飛び出してしまい、鍵を持ってくるのを忘れてしまった。
悠のことだから開けてくれているとは思うけど......
凄く帰りたくない。
僕の右手はジンジンと痛む。
悠と大喧嘩したのは初めてだ。
感情的になって叩いてしまった。

「......あとで謝ろ......」

ポケットに手を入れ、指輪を取り出す。
今日レストランでプロポーズをしようと思っていた。
......迷惑かな......
悠は仕事で忙しいし......
そもそも10年一緒にいて中々プロポーズしてこないからその気は無いのかもしれない。
それでもいい。
気持ちはちゃんと伝えたいから。

それにしても今日は救急車もパトカーも多い。
家を飛び出してきて10分程経つが既に5台は見てる。

悠......忙しいだろうな......
確かに今回は我儘すぎた......
大きく溜息を吐き1人反省していると、遠くから悲鳴が聞こえた。

「?」

振り返ると人が倒れていて、もう1人が覆いかぶさった形になっている。
何あれ......ぼーっと見ていると次は違う方向から悲鳴が。

「え......こっちも......何これ......」

段々と悲鳴の数が増えていき、人がバタバタと押し倒されていく。
血だらけだ。

「し、死んでる......?」

怖くて足が竦む。
一体何が起きているのか理解が追いつかない。
1人が僕に向かって歩いてくる。
その人は皮膚が爛れていて筋肉が見えている。
目も焦点が合わず生きていない人の目みたいだ。

「う、うわぁ!!」

僕は怖くなってその場から逃げた。
逃げている道の途中にも何人もの人が襲われていた。
何が起きてるの?
どうしてこんな......
周りは地獄絵図のようだった。

「はぁはぁ!......悠っ!」

反射的に悠の名前が口から出た。
何かに躓き転けてしまう。
転けた先にはさっきと同じ様な人が立っていた。
僕に向かってくる。
腰が抜けてしまい動けない。

誰か......誰か助けて......

「っ!悠......っ!助けてっ......」

その瞬間、悠と喧嘩してしまったことを酷く後悔した。
それと同時に走馬灯のように悠との今までの思い出が脳内に走った。

「うっ......ごめん、悠......」
/ 27ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp