第2章 トラウマ
零音side
返事をした後に僕はすぐに解放され、右足を引き摺りながら部屋に向かった。
アルコールと包帯、ピンセットが欲しい……
けどそんなものここにあるわけが無い。
倉庫に取りに行くしか……
包帯はタオルを使うとして……アルコール……
ロビーまで降りてレストランに行けばあるはず……
けどこの脚で動ける訳が無い……
「はぁはぁっ……うっっあ゛ぁぁぁぁ!」
ベッドに座り込むと激痛が走る。
右足を抱え寝転ぶ。
早くしないと……感染を起こしてしまう。
悠に前に教えてもらった応急処置をしないと。
そう思って動こうとした時、目の前が歪んで床に倒れ込んでしまった。
「あ……あれ……力が……」
声が震える。
体も動かない。
貧血状態だ。
誰か……助けて。
足から流れる血液が床のカーペットに染みていくのを見ながら僕は意識を失ってしまった。
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『零音。』
……ん?悠……?よかった無事だったんだ。
『あぁ、お前も無事でよかった。』
悠が頭を撫でて抱きしめてくれる。
暖かい。
『……けど、お前……他の男と付き合うことになったって?』
!!違う!!
あれは断れなくてっ!
『は??まさか10年も付き合ってきて裏切られるなんてな。無駄な時間過ごしたな。』
悠!待って!違う!僕は!!!
何も違うことなんてない。
そうだ、僕は頷いてしまった。
恐怖に勝てずに。
いっっ!
痛みを感じ足元を見る。
血が滲み出てきた。
遠くに行ってしまう悠を追いかけようと手を伸ばすが届かない。
まって……お願い……悠……
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「……まって……っ!」
目が覚めると自分のベッドの上にいた。
右大腿部には包帯が巻かれている。
誰が……