第2章 トラウマ
零音side
「うっ.........うぇ.........」
部屋に戻ってすぐ、僕は嘔吐を繰り返した。
出るものは胃液ばっかり。
きっとストレスだろう。
おまけに、お腹の調子まで悪い。
さっき出されたものが残っているんだろう。
「はぁ.........うぅ.........うえぇ.........」
気持ちが悪い。
頭も回らない。
何か口に含まないと。
『零音、食べれるか?』
僕の体調が悪くなるといつもそうやって悠が声をかけてご飯を食べさせてくれた。
料理苦手なのに頑張ってお粥を作ってくれた。
今は1人.........自分で生きないと.........
何とか立ち上がり、ロビーへ向かった。
皆少ない量のご飯を口に運んでいた。
食べたい分だけ食べればそのうち食料が尽きるからだろう。
僕もホテルの従業員さんからパンを貰い端の方に座り込み口に運ぶ。
今外で起きている状況にまだ誰も信じきれていないのだろう。
空気はかなり重かった。
テレビではずっと同じ映像の繰り返しだ。
『皆さん、室内など安全なところに隠れてください。もし、このような生物と遭遇した場合、頭を狙ってください。』
ニュースキャスターが視聴者に向けて必死に声をかけていた。
何の専門か分からない男性に切り替わり、外で出会った化け物について話し始めた。
『もし噛まれたり引っ掻かれた場合、同じような化け物になってしまいます。すぐに隔離する、もう息を引き取っているのであれば脳を狙ってください。』
その言葉を聞いた瞬間、その場にいた全員がざわつき始めた。