第2章 トラウマ
零音side
栖須原くんとは高校生の頃の知り合い。
と言っても……
「零音こっち見ろよ。」
「はぁはぁ……ごめんなさっんぐ!」
「あはは最っ高!」
僕をいじめていた1人だ。
入学してからひと月で僕へのいじめが始まった。
初めはよく聞くような嫌がらせばっかだった。
けどそれにも僕はなんの反応もせず、慣れてきていた。
「またか……」
机には酷い落書き。
教科書も破られ、椅子には大量の画鋲。
原因が分からなかった。
なぜ僕がいじめの標的にされたのか。
別に何も彼らに嫌なことをしたつもりはなかった。
そもそも話したこともなかった。
僕はそんな嫌がらせに何も反抗せず、ただ毎回綺麗に元に戻していた。
それさえも気に食わなくなってきたのか、隠す気がなくなり僕を殴る蹴るなどの暴行が始まった。
「んぐっ……」
流石にこれには耐えきれなかった。
1度、殴られた場所が悪く入院したことだってある。
「零音!何があったの!?」
両親にも心配されたが、僕は誰にも言わなかった。
どうせ何も解決しないことはわかっていた。
後に暴行が飽きてきたのか、1年後には性的暴行が始まった。
何度も写真や動画を撮られ、拡散すると脅された。
その時に僕は初めて男に抱かれた。
痛みと恐怖は今でも覚えている。
もう死にたい。
その思いが強くなってきていた。
「あっ……んん……あぅ///」
「……何やってんだ、あんたら。」
そう声をかけてきたのは悠だった。