第2章 2
岳「おーい、名前捕まったか?」
宍「なー、ジローもいねーんだけど、お前ら見てねーか?」
廊下からまた氷帝の制服を纏った2人が現れ、座り込んだままの跡部と苗字を起こす。
手「ジローとは芥川か?俺は見ていないが、皆はどうだ?」
全員が首を振る。
手「だ、そうだ。」
岳「そうかよ、ありがとよ!行くぞ!」
さらっと礼を言うと、芥川を早く探すべく急かす向日と
宍「しほ!やったぜ!やっぱり来てたんだな!」
しほの姿を見つけてもう少し、と留まろうとする宍戸。そして今度はその宍戸からしほを背中で覆うように隠す手塚。
手「もうこれ以上用事はないように思うが?」
宍「はぁ?感じ悪ぃなー。ほんっとによ。」
手「感じが悪いもなにも事実を……」
手塚が話している間に宍戸はその後ろのしほを覗き込み、じゃあまたな!としほにタッチを促していた。
手「?!」
「おら、てめーら帰るぞ!じゃあな、手塚」
「あ、あとべまってー!」
跡部に促され、苗字たちは青学の控え室を後にしたのだった。
「なぁ、苗字……」
「ん?」
「今日ずっと見ててくれて
俺を呼び起こしてくれたよな?」
「…聞こえてたのか」
「あぁ。…お前に立てと言われちゃな。立ち上がるしかねーだろうがよ」
ありがとよ、と言いまた抱き合った。
疲れた身体を苗字にもたれ掛かるように、いつもより体重を乗せて。
ただ抱き合うだけがとても心地よく、お互いの体温と鼓動を確認し合う。その甘い空間は疲れきった跡部の身体を心を少しづつ軽くしていく。
苗字にしても、1日応援で見ている事しか出来ないということが こんなにももどかしいのかとずっと身体を強ばらせていたから 跡部に包まれている今、やっと安心できた気になる。
結果はどうあれ、やっぱりあたしのNo.1はあとべ。泥まみれでも、汗だくでも どこまでも真っ直ぐ諦めず、挫けずに、一番熱く、光るこの夏が似合う人。
一番安心できるこの腕が今日も力強くて、それがしあわせ。
ずっと、、ずっと感じていたい。
そう思いながら 目を伏せた。