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世界で1番熱い夏

第2章 2


いいから越前リョーマ出せー!と暴れ回る苗字を、徐々に着替えを終え増えてきた青学のレギュラー陣達が 当たり散らされながら抑えこんでいた。

越前、頼む、今戻ってこないでくれ、と皆が願っていた所で またバーーン!と耳が痛くなるほどの扉の開閉音がそこにいた全員の動きを止めた。



「苗字!!てめぇ、なにしてやがる!?」

「!!!!」


その音を立てた主は 随分さっぱりした頭で鋭い眼光を騒ぎの渦中の苗字に向ける。


「あとべ!!」

大「連れてきたよ、手塚…」

跡部の後ろには少し息を切らせた大石の姿。



「うわーーん!あとべぇぇー!」

両腕を押さえ込んでいた桃城からするりと抜け出し、どん!と突き飛ばして跡部に一直線に向かう苗字。


どしん!勢いの余り跡部に体当たりをすると、試合直後から先程やっと気を取り戻した跡部は 押し負けて倒れ込む。

ぎゅーっと跡部の首に手を回し、子供のように涙を隠さずに泣きじゃくる苗字。


「……ったく。」
( 泣きてぇのはこっちだ。

「あとべぇぇ、すご、く、かっこよかったぁぁぁ」

泣きじゃくる苗字の腰と背中に手を回し、トントンと優しく摩る。


「で?お前はそんな俺様を放置してこんな所で何してやがる?」

「……わがんな"んいっ」

「はぁ。まぁ俺様のイメチェンもなかなかだろ?いいじゃねぇの。ほら、どうだ?」

どうせ、越前に痺れを切らせて乗り込んだとかそんな所だろうよ。そう跡部は思い、やり切れないながらも そんな苗字の事を少しだけ可愛く感じ、肩に埋もれた苗字の顔を自分に向けた。


「…ん。やばい。とっても似合ってる」

「そうだろ?落ち着いたなら帰るぞ。」


その様子を青学一同があっけに取られている事も忘れているんだろう。随分ゆっくりと交わされたやり取りだった。
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