第3章 存在
「マリーがケガをしたってどういうこと!マリーは立体起動が得意だったんじゃないのか?」
ハンジの声が医務室に響く。
「うるせえ。マリーが起きるだろうが。」
体のいたるところを包帯で巻かれたマリーが眠るベッドの横で足を組んで座っているリヴァイ。
「俺が知るわけねぇだろ。こいつは訓練兵になってから目を合わせようとしねぇ。」
眠るマリーの頭を優しくなでる。
「…あたしは最近噂を聞いたよ。」
ハンジ苦しげな顔をする。
「噂?マリーのことか?」
「マリーは他は並だが、立体起動と座学は特にずば抜けているらしい。まあアルマとフリッツもそれぞれ得意だったからね、似たのかもしれない。」
リヴァイは表情を歪める。
「最近では将来リヴァイのバディになれるんじゃないかなんて言われてたんだ。…でも。それをよく思わない奴らもいるらしい。」
「どういう意味だ。」
「最近マリーがエルヴィンに体を売ってるって噂がたってるんだよ。
上官達にも媚びを売って、リヴァイから特別な指導を受けてるとか…。
マリーがあたし達と話してるところはよく見られているだろうしね。」
「年下が優秀ってのが気にくわねえだけだろ。」
リヴァイはため息をついた。
「俺は何もしてねぇ。全てあいつの実力だ。」
「わかってるさ。
怒りや嫉妬は周りを見えなくするんだよ。あたし達がここで何か動いたとしても、それをきっと彼らはひいきだと感じるだろうね。」