第7章 始まりと終わり
夕方。
リヴァイはマリーの部屋の扉をノックする。
「マリー、俺だ。メシを持ってきた。」
返事はない。
扉を開けると電気はついておらず、ベッドの上に小さく丸まって座るマリーがいた。
服は昨日リヴァイが着替えさせたまま。長く艶のある髪が自慢だった面影はまるでなく、綺麗な青色だった瞳は光の無く曇っている。
あの調査の時。
エルヴィンはマリーを庇って死んだ。マリーの目の前で…。
それが相当なショックだったのか、マリーは話すことは疎かまるで死んだかの様に動かなくなり、リヴァイの言葉にも反応することは無かった。
リヴァイは食事を机に置きマリーの前に立ち、マリーを見下ろす。
「マリー。そろそろしゃべってくれねぇか?俺までおかしくなっちまいそうだ。」
……。
「エルヴィンがお前にとってデカかったことはわかっている。だがいつまでそうしている気だ?」
……。
リヴァイは舌打ちをすると屈み、マリーの肩を強く掴み揺らす。
「前を向け!てめぇらはなんでそう1人で抱え込もうとするんだ?周りを、俺を信じろ!てめえ1人の思いぐらい俺が全部受けとめてやる。」
すると少しだけマリーが反応した。
『てめぇらって…?』
「お前の母親だ。変なとこ似やがって…。1人でグズグズとするな。自分の足で立て。」