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【ONE PIECE】海賊王と天竜人の娘は誰も愛せない

第1章 








自分の血が嫌いだった。
異種族を奴隷と呼びながらおもちゃのように扱い、一般市民を下々民と呼ぶ。同じ空気を浴び吸いたくないからとおかしな格好で観光地を歩き、一般市民と区別をつけるためにおかしな語尾もつけなければならず、自分たちは偉いからと一般市民に土下座を強要……わたしが思う一般市民への非礼なんてあげるだけキリがない、世界の創造主の末裔と呼ばれている世界貴族。
ただの人間なのに。世界の創造主本人ならまだしもただの末裔というだけで威張る、世界の嫌われ者。嫌われ者のくせに、自身を神に等しい存在と語る。
わたしには、そんな“天竜人”の純血が体の中に流れている。



『お母様、わたし、今日のお食事会にいきたくありませんわ』
『…言葉が違うアマスわ。だめよ、しっかり覚えなさい。恥ずかしい思いをするのはあなたアマス』



いつから自分の血に嫌悪を抱くようになったのかは、定かではない。でも、物心がつく前からきっと、おかしいとは思っていたはず。

どうして自分と同じ生きている人たちが酷い扱いを受けているんだろう?
どうして同じご飯を食べちゃいけないんだろう?
わたしたちは働かなくていいの?彼らは、彼女たちはあんなにボロボロで辛そうに仕事をしているのに。


…一度だけ、まだ幼い頃。
聖地・マリージョアのそばにあるシャボンディ諸島へ初めて買い物に出かけたとき、家族や自分に向かって膝をつき頭を垂れる人たちに疑問を抱いた。地面に頭をつけている同い年くらいの子供の目の前にしゃがみこみ、声をかけたことがある。

『おでこ、いたくなっちゃうよ?けがしちゃう』

震えながら頑なに頭を下げ続ける子供の頭を上げさせようと、肩に手をかけようとした。瞬間に、母が絶叫にも似た声でわたしの名を呼んだ。



『やめなさいッあなたが穢れるアマス!!!』



そして、わたしの目の前にいた子供は、叫ぶ母によって蹴飛ばされた。

手を引かれてすぐにその場を去ったことであの後の詳しいことはわからないけれど、その場からだいぶ離れた頃に女の人の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。もしかしたら、あの子は、もう………。

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