第15章 芸能界 第7話
アクアside
あの日から数日経った
その日からレンを俺達は見ていない
あれだけ傍にいたから忘れがちだが
芸能人であり声優であり、グラドルだ
俺達より忙しいのは目に見えて分かる事で…
正直、今レンに会った所でどう接すれば
良いか分からないから助かっている
何せ、兄妹の様に思ってた男に襲われたんだ
レンを傷付けたに違いない…
あれからずっとレンの泣いた顔が頭から離れない
そもそも、あいつはあまり泣かない
最後に泣いたのはアイの死んだ時だ
あれ以来泣く事は無かった
今思うと記憶を取り戻して精神的に
元に戻ったからだと理解出来る
レン自身の秘密を俺にだけ
教えてくれたって事はそれだけ俺を
信頼してくれてたって事で…
でも俺はその信頼を裏切る様な事を
してしまっている訳で…
あれからいくらレンの事を
考えても結論が出ないでいる
この感情をどう言葉で表せばいいのか…
事務所のメイン部屋であるこの場所で
悶々と考えていた時だった
「そういえばアクア、ドラマ出るみたいよ」
「えっアクアドラマ出るの!?」
「何で言うんだよ」
「だって貴方自分から言わないでしょ??
所属タレントの広報活動は事務所の仕事よ」
「ママ言ってたもんね…
将来私はアイドルで…
アクアは将来役者さんかなって…
あの言葉忘れてなかったんだね…」
そんなんじゃない
アイと生前交流のあったプロデューサー
鏑木勝也と接触し今回の仕事中髪の毛の
1つでも回収出来ればそれでいい
アイの願いを叶える為とか役者への
憧れとかそんな高商な考えは持っていない
「で…なんて作品に出るの??」
「「今日は甘口で」って作品
少女漫画原作ね」
「「今日あま」ってアクアの部屋にあるやつ!?
あれおもしろかった!!」
「勝手に読むな」
「最近出来たネットTV局制作のドラマで
全6話中もう3話まで放送済み
メインの役者も新人が多いし
規模としては少し小さめの作品ね
アクアの出番は
最終話に出てくる悪役みたいよ」
「向いてるじゃん
悪い顔してるもんね」
「うるせぇな」
「ネット局のドラマだから今観れるわよ」
「観る観る!!」((ワクワク
<人間は嫌い
だって皆、自分の事しか考えてないから>
「あっロリ先輩!!」