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特級錬金術師の旦那様

第12章 激怒させた男爵家


翌朝の早朝。

一通の手紙がマーフィスの元へと届けられた。目を通すなり、火の魔法で直ぐに燃やされた。何を書いてあったのかは分からなかったけれど、一つだけ理解したのはマーフィスの神経を逆撫でしたと言うこと。

「マーフィス、誰からだったの?」
「昨日の面白い名前のヤツだ。」

マーフィスもあの名前が面白いって思ってた?あ、そう言えば、私が面白い名前って昨日言った気がする。だからなの?

「さ、湖に行くか。」
「えっ、大丈夫なの?」
「あぁ。何も問題ない。」

至極どうでもいいと言わんばかりのマーフィスに、私の思考からズードジアの事は消した。

目的地である湖は、あちこちで漁業を生業としている人たちがいた。その中にいるある若い漁師さんにマーフィスは声を掛けた。

「リチャード、成果はどうだ?」
「マーフィスか、久しぶりだな。成果なら見てくれ。」

見せてもらった船の中には、生け捕りの海老たちが大量に入っていた。ただ、その中にはあの目と牙は大きい怖い魚も混ざっている。

「これは凄いな。」
「何言ってんだよ。凄いのは、マーフィスが俺に託してくれた網だろう?」

一般的な網では、海老のハサミや魚の牙で破られるらしい。でも、マーフィスが作った網は金属が一緒に編み込まれたもの。

「マーフィスのお陰で、俺たちは何とか生きていける。嫁も今でもマーフィスに感謝してる。で、今日は仕事中か?」
「半分はな。紹介しておく。嫁のミアだ。ミア、俺が見習いの頃からの知り合いのリチャード。」
「そ、そうか。嫁さん貰ったのか。良かったな!!初めまして、漁師のリチャードだ。よろしく。」
「ミアです。よろしくお願いします。」
「商業ギルドの受付嬢、マーフィスが嫁貰ったって聞いたら卒倒しそうだな。」

冒険ギルドでは、既に卒倒されましたが?それより、リチャードの名前の方がカッコイイ。ズードジアって・・・。

マーフィスはリチャードから、生きたままの海老を購入した。慣れた様子で、海老たちを仮死させては魔法鞄の中に入れていった。

私たちの移動としては、西側から東側へ向かったもの。北側を経由したから、南側の湖は見ていない。そして、その南側は海へと繋がっているのだと教えてくれた。

確かに、淡水にも生息はしている。ただ、私の視界に入って来たのは形は見慣れたもの。だがしかし、色は・・・赤。
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