第11章 湖畔の町
余計な一言だと気付いたのは、遅いタイミングだった。だって、路地裏に連れ込まれては、唇を貪られてる羽目になったのだから。
意識が遠くなりそうだ。でも、何か・・・気持ちよくもなってきた気がする。つい、マーフィスにしがみついたら、笑った気がした。
でもね・・・長いと思うの。どれだけ、貪るつもり?辛うじて、呼吸は出来る。出来るんだけど・・・マーフィスの手付きが妖しいし吐息も熱くなって来た気がする。
ただ・・・どうしてだろう?離れ難いって思ってしまってる。マーフィスとのキスって、熱烈で甘くて嵌ってしまうんだよね。
「ん、取り敢えずはこれでいいか。ご馳走様、ミア。」
「ううん。私もちょっと・・・嬉しい。」
「そっか。可愛いなミアは。続きは後でしような?」
何か、危険な言葉が聞こえた気がする。空き地へと向かうマーフィスの足取りが軽くて早い。少しだけ身の危険を感じてしまう。
「マーフィス、また町の中を散策したい。」
「分かった。今度は、北部に行くか。あっちは乳酸業が有名なんだ。」
「そうなの?行ってみたい。」
「それと、この町は夜になるとかなり冷える。もう少しで日が落ちるから急ごう。」
この町の南部は湖沿いだから魚介類が有名。北部は牛などの乳酸業が有名なだけあって飼育にも力を注いでいるらしい。
向かった先は、町外れにある少し上った先にある場所だった。マーフィスは家を出して、私を直ぐに家の中に押し込めた。
「マ、マーフィス、どうかしたの?」
「さっきの海老で何か作るんだろ?早く食べたい。」
マーフィスは食いしん坊だった。私は手伝ってくれるとの事で、一緒に海老の殻を剥いて・・・剥くのはマーフィスにお願いした。私の非力な力では太刀打ちできなかった。
食卓に並んだのは海老フライ。勿論、タルタルソース付きだ。数尾は練り物にして、汁物の具の一つにした。
いただきますと同時に、マーフィスは海老フライに齧り付いた。あ、マーフィスの目が丸くなってる。ちょっと可愛い。続けて、汁物にも口を付けている。あ、また目が丸い。
「ミアを嫁に欲しい。あ、もう嫁だった。そうだ、明日、湖に行こう。生きたヤツを捕まえて、家で飼育する。絶対する。」
絶対なんだ・・・。乳酸業も有名だって言っていたから、海老のクリームコロッケも食べたいなぁ。でも、捕まえるって危険じゃないのかなぁ?ちょっと心配。