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特級錬金術師の旦那様

第10章 薬草採取と報せ


本当にこんな緊張感の無さでいいのかなぁ?

「?ミア、どうかしたのか?」
「さっきまで、凄く緊張してたでしょう?なのに・・・。」
「今はこんな風に、抱き合いキス三昧だって?さっきも、すれ違った商人を驚かせたしな。」
「わ、笑いごとじゃないよ。恥ずかしかったんだからね?」

マーフィスが目を細めながら、私の頬に触れる。

「まだまだ、これからだろ。何逃げようとしてんだよ。逃がす訳ないだろ?これからもっと俺と触れ合って、俺に慣れて貰わないと困るんだから。」

何やら手付きが妖しい。だがしかし、マーフィスの動きが止まった。

「・・・ハアッ、本当に何処まで愚者なのやら。」

マーフィスがそう呟き、後方に目を向けた。

「マーフィス、あの土埃・・・。お、追っ手なの?」
「国境超えてまでこの行動とは・・・さて、どっちだろうな?」

マーフィスは楽しそうだ。

「ねぇ、ど、どうしよう?怖いよ、マーフィス。」
「こんなに怯えて。可愛いなぁ、ミアは。」
「マーフィス、そんな事言っている場合じゃないよ。」
「分かった。少し待ってろ。」

鞄から取り出したのは、一本の琥珀色の杖だった。マーフィスが呪文を唱えれば、後方の土埃の中に電撃が落ちた。

「お~、意外だな。根性あるじゃないか。じゃあ、もう一声遣っておくか。」

マーフィスの呪文の後、辺り一面、真っ白になった。こんなことになるのなら、予め言っておいて欲しい。目がチカチカする。

「これで暫く、目が使い物にならないだろ。って、あ・・・悪い。ミアに目を閉じる様に言うのを忘れてた。大丈夫か?」
「目がチカチカしてる。」
「だよな。暫く、大人しく俺に抱かれてろ。危ないからな。」

仕方ないので、マーフィスの言う通りに寄り掛かったまま大人しく待機だ。目を閉じたまま、どれ位大人しくしていただろう?

マーフィスの腹の虫で意識を戻した私。

「あ~、悪い・・・起こしてしまったな。」
「あ・・・見える。良かった、どうなるかと思った。ねぇ、そろそろお昼の時間?何か食べよう?」
「そうだな。ミアが作ってくれたアレがいいな。」

アレとは、ハンバーガーだ。バンズは思ったより上手く作れたので、ハンバーガーを作ってみたらマーフィスの好物の一つとなった。それと果物を絞ったジュースも一緒に食べることになった。

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