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特級錬金術師の旦那様

第9章 アリオン宅と媚薬


私たちはマーフィスの兄弟子である、アリオンの自宅へと来ていた。小瓶に入れたラー油を興味深そうに眺めている、アリオン夫妻。

「綺麗だし美味しそうな色ね。そうだわ、スープに入れてみようかしら。」
「そうだね。いい案だと思うよ。」

浮足立つヨキアはキッチンに戻って行った。

「珍しいものありがとう。」
「どういたしまして。」

少しして、奥の部屋からヨキアの感嘆の声が上がった。そして、小皿を手にしたヨキアが出て来てアリオンの目の前に差し出した。

「・・・小皿?」

その中には、何かスープらしいものが入っている。

「いいからっ、味見してみて。」
「分かったよ。いただきます。」

アリオンがそのスープを喉に流せば、直ぐに目を見開いた。

「・・・何これ。えっ?・・・辛いけど、後を引く美味しさがする。これって、マーフィスたちが持って来てくれたアレが原因?」
「そうなのっ!!ねぇ、アリオン・・・お願いがあるの。」
「いいよ、ヨキアが望むなら何でも叶えてあげる。」

えらく男前な台詞を吐くアリオン。本当に嫁が大好きなんだなと温い目で私たちはそのやりとりを見ていた。

「ってことで、作り方教えて貰っていいかな?」
「アリオンも登録するってことか。」
「うん。あ、凄く高価な材料とか必要?」
「ミア、教えてもいいか?」

二つ返事をすれば、アリオンが目を丸くして私を見た。

「ミアの発案なの?」
「はい。」
「へぇっ、そうなんだ。ありがとう、知識を共有させてくれて。今度何かあったら必ずお礼するから。」

この後、アリオン宅でラー油作り。大量に作る辺り、余程気に入ってくれたのだろう。その後は、二人の子供であるヨアンを紹介してくれた。

産まれて半年の、可愛い赤ちゃんだった。人懐っこくよく笑う、愛らしい赤ちゃんをマーフィスは興味深そうに見ていた。

「人懐っこいところはアリオンそっくりだな。それに、目はアリオンと同じ灰色なのか。」
「でも、見た目はヨキアそっくりだろう?もうっ、目に入れても痛くないくらい可愛くてな。あ、でも、一番はヨキアが可愛いけどな。」

愛妻家同士の会話が続く。聞いている嫁側は、少々恥ずかしい。でも、幸せそうに微笑むヨキアを見て私も嬉しくなった。

私もマーフィスと出会ってなければ、今頃、こんな穏やかな生活を送れていなかっただろうから。

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