第4章 歓迎されない来客
それにしても、外にいるもう半分以上胸が零れている裸同然の服というより布?的なものを身に纏ったこの人は、マーフィスにどんな用事があるのだろう?
これ以上暴れたら、あのお胸が大変なことになるんじゃない?自慢なの?見せたいの?痴女なの?馬鹿なことを考えていたけれど、怖くて対応なんて出来ない。
あ、悲鳴が上がった。って、簀巻きにされて振り回されてる。女性相手でも容赦ないな、この植物。でも、いい働きをしてくれている。私の精神衛生上よろしくないから、駆除でお願いしたいです。
やがて、パンが焼ける良い匂いが立ち込めて来た。小躍りしながら、オーブンの窓から覗き込んでいるとふっくらと焼けている食パンとジャムパンが確認出来た。
「やったっ、美味く焼けてる。やっぱり、パンはフワフワじゃないとね。楽しみだなぁ。」
暫くしてブザーが鳴ったので、オーブンのドアを開けた。
「いい匂いっ!!味見しなくちゃ。」
味見用に作った小ぶりのジャムパンを小皿に乗せては。ふうふうと息を吹きかけながら一齧り。
「んんんっ!!!コレよ、コレっ。美味しい。マーフィス、早く帰って来ないかなぁ。やっぱり、一緒に食べたいな。」
しかし、マーフィスは中々帰っては来なかった。リビングでソファーに座ったまま寝てしまった私。でも、身体がフワフワして何だか気持ち良かった。
誰かの声が聞こえた気がしたけれど、私は曖昧に返事をすることしか出来なかった。
翌朝、目覚めたけれどベッドで寝ていたものの、マーフィスの姿は無かった。
「あれ?私、リビングで・・・マーフィス?」
マーフィスの名を呼んだ時、部屋のドアが開いた。
「マーフィスっ!!いつ帰って来たの?心配したんだよ。って、寝てないの?」
「あぁ、直ぐに作業したくてな。心配掛けて悪かった。俺を待っててくれてたんだな。」
「当たり前じゃない。」
「うん、ごめんな。でも、良いもの出来たから。」
「良いもの?」
マーフィスが見せてくれたのは、目が潰れるんじゃないかと思う程の宝飾品だった。
「これって・・・。」
「ピンクダイヤ。たまたま良いのが採れたから、少しでも早く加工したくてな。サイズも良かったから、指輪とピアスとネックレスの三点セットにした。」
「マーフィス・・・どう言っていいのか。でも、ありがとう。だけど、あまり心配させないでね?」