第3章 鉱山の町と細工
空飛ぶ絨毯で、山間部の麓にある【キリア】という町へ到着した。この町では、鍛冶師の人たちが切磋琢磨しては腕を磨いている。
初の冒険者ギルドに来た。マーフィスと共に訪れ、私は仕事が貼りだされた掲示板を見上げていた。マーフィスは受付で何か話している。
「ねぇ、君は何処から来たの?」
「えっ?あ、王都から来ました。」
「そうなんだ。この町には、やっぱり宝石を買いに?」
「いえ、付き添いです。」
「付き添い?」
私が受付にいるマーフィスに目を向けると、一瞬驚いた顔をした後笑いだした。何が理由で笑ったのか疑問に思っていると、少々?嫌まぁまぁ小馬鹿にした目で私を見ている冒険者らしき人。
「君さぁ、嘘を付くならもう少し最もらしい嘘にしたら?あいつのこと知らない様だから教えてあげるけど、あいつはマーフィスと言ってAランクの冒険者で錬金術師でもある。それと、大の女嫌い。見た目は良いし腕もあるから、今まで言い寄られることは何度もあったけど誰もが撃沈してる。そんなつまらないヤツより、俺にしたらどう?」
「女性を口説くなら、もう少し最もらしい態度でトライした方がいいですよ?それに、私は嘘つきではありません。ねぇ?マーフィス。」
「お前・・・俺の嫁、口説くとはいい度胸だな。」
アレ?何か、思ってたのと違う。マーフィスの目、瞳孔開いてない?結構、怒ってる?それに、ナンパして来た冒険者は既に腰が引けてる。
「よ、嫁って・・・。」
「俺の嫁だって言ってんだろ?俺が上辺だけや嘘言うの嫌いだって知ってるよな?」
「す、すみませんでしたっ!!」
おぉっ、逃げ足が速い。そして、周りにいた冒険者らしき人たちも驚いた顔をしている。何処からともなく、嫁のフレーズが聞こえる。
「用事は終わったの?」
「あぁ、終わった。明日に鉱山に入る。それと、土地を借りたから。」
そうだった。あの家は、移動できる。マーフィスが持つ魔力じゃないと使えないけれど、家型の鍵に魔力を込めれば家が現れる。
そう、あの泊まった家がそのまま持ち運べる。本当に驚かされた。でも、だからこそ何処でも安心して休む事が出来る。
マーフィスと向かった先は、町外れの空き地だった。そして、家型の鍵に魔力を込めれば家が現れた。私を先に家の中に入れ、自身が入る時一瞬視線だけを向けそのまま後ろ手で静かに扉を閉めた。