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特級錬金術師の旦那様

第20章 聖女


私たちがモーリストを出た数時間後、聖女は到着した。聖女の名は、【マリア】。世界樹に祝福を与え、更にこの町にも祝福を与えたらしい。

「そんな事を言って、マーフィスさんを怒らせたのですか。本当にどうしようもない人ですね。」
「ギルマスの俺にも容赦ないな。」
「だって、そうでしょう?その事が原因でこの町が見限られたら、どうするおつもりなのですか?」
「考えたくもねぇよ。」

そんなやり取りをしている事など知る由もなく、私たちは変わらず馬車の中で乳繰り合っていた。もういい、乳繰り合っていた。さっきからマーフィスにあちこちにキスされている。

ギルマスと何かあったのかもしれない。だから、私は甘んじてマーフィスの気持ちが落ち着くまで堪能した。そう、堪能である。

更に、そんなマーフィスに私は擦り寄り抱き付く。いいんだよ、馬車の中だもの。マーフィスの前ははだけていて、ここぞとばかりに私は撫で回す。今だけは痴女と言われても否定出来ない。

「なぁ、ミア。こんなにして俺をどうしたい?俺はミアと寝たいのに。」
「まだ明るいからダメ。」

こんなことになった切っ掛けは、ギルマスと話したことをマーフィスは教えてくれなかったから。悪戯心も上乗せしては、お預け状態だ。

今のマーフィスを見たら、乱れ過ぎて男女問わず襲い掛かりそうだ。そんな状況の中、私の加虐心が業火の如く燃え盛り・・・ちょっと楽しくなっている。

「ミア、辛いんだけど・・・。」
「知ってる。でも、まだダメ。」
「明るいからダメって言うのなら、あの太陽を壊せばいいのか?」

ん?矛先が突拍子のないものになってきた。太陽は幾らマーフィスでも壊せないと思う。

「ずっと夜なら、ずっとミアと愛し合ってもいいいってことだろ?どうにかして、あの忌々しい太陽を・・・。」

一体、どうするつもりなのだろう。

その後、暴走したマーフィスはどうにも制御できるものではなかった。一晩中、甘い声で私の名を囁くのは止めて欲しい。

翌朝、げっそりした私とそんな私を羽交い絞めにして満足そうなマーフィスがいた。身体中のあちこちが痛い。全力で痛い。

そんな余韻に浸っていると、あの紙吹雪が現れた。マーフィスの表情が変わり、溜め息を吐いた。アリオンさんからの便りだ。何かあったのだろう。
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