第4章 螺旋
主人公said
頭がぼーっとする。
目を少しづつ開けるとぼんやり周りが見え始めた。
「気がつかれましたかな?」
今まで会ってない人の声がした。でもこの声は知ってる。
「…連れて来てくれたのは貴方ですねジェイムズさん。」
頭に風邪をひいたときのような重い感じが嫌で額に手を当てながら適当に挨拶を済ませる。自分が目覚めた場所を把握しようと身体を起こすと、一瞬驚きを見せたが直ぐに冷静さを取り戻したジェイムズさんが口を開いた。
「聞いてた通りのお嬢さんだ。」
「…ジョディさんとキャメルさんが居ないのは
2人はまだ知らないから。“緋色”の事。」
自分がいる場所を見渡して気づく。病院に
いる。点滴の針が刺さっているのを見て驚いた。
点滴をさせるという事は血管がある。
病院で診て貰ったという事は脈がある。
慌てて脈を確認して針を引き抜いた。
暫くして血が出てくるのを見た。
今度は引き抜いた針を自分の腕に
「何をしているッ」
ジェイムズさんに腕を掴まれ私の行動は遮られた。
その掴まれた腕が疎ましく感じてジェイムズさんは
悪くないと分かっていながら睨んでしまった。
「…確かめていたんです。」
その瞬間、同じフロアから女性3人の悲鳴が
聞こえてジェイムズさんの肩が揺れた。
でも私はここがドコなのかを思い出して目を伏せた。
“お茶会”だ。
また、また、気付けない
知っていて助けられない
阻止できない
被害者も加害者も助けられない
「…確かめていた、とは?」
言葉通りの意味だろ。なんで一々聞いてくるんだ
ジェイムズさんの問いにも自分の無力さにも苛立っていると
“お茶会”があった部屋は意外にも近いのか、
喧嘩する声も聞こえていて私の苛立ちは限界を迎えそうだった。
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