第3章 跳躍
いや正直帰りたい。取り敢えずこの場を離れたい。
楽器をバッグに仕舞いながら園子ちゃんには悪いけど
この後はもう用事を思い出した
か何かを言って、この場を離れよう。
「僕も参加していいですか?」
安室さんからどこか楽しそうにも聞こえる声が発せられた。
「貸しスタジオがありますし、ギターは彼女のようにはいきませんが、ベースなら僕も教えて差し上げれますし。」
「へぇ、なら僕にベース教えてくれよ」
世良ちゃんが安室さんに話していてどんどん話が決まっていく。
この状態じゃ行く事はほぼ決定していてまずい、
このままでは断りきれなくなりそうだ。
「いや、実はこの後予定がッーーー」
この後に予定など無いが此処を離れる為に喋り始めた途端、
胸の辺りで息が詰まる様な苦しさに襲われた。
携帯を取り出し、沖矢さんに電話をかける。
その様子を見ていたコナンくんが駆け寄って来てくれて
私の差し出した電話を取り事情を説明してくれた。
「ありっ…が……」
“ありがとう”と言いたかったのだが届いたかは分からないまま私は意識を手放した。
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