第3章 跳躍
向かう先はポアロ。安室透が居ない事を祈っていたんだが。
ーーまぁそういう時って、そうだよな。ーー
やはりその姿は見えた。
店内を見るとテーブル席で女子高生3人がいる。こちらに気づいて蘭ちゃんが手を振ってくれる。一応、黒いシャツとネクタイ、スボンを履いて長い髪を半分くらいの位置で結んで男っぽくしてきた。蘭ちゃんはすぐ気付いちゃうんだな、と思うと嬉しい様な複雑な気持ちになった。覚悟を決め、店内に入ると
「大丈夫大丈夫!ちょっと練習すれば弾ける様になるって!」
園子の声が聴こえた。その言葉は聞いたことがある。
「んじゃ弾いてみろよ。」
ーーあぁ、この展開だったよな。
園子が涙目になってーーー
「貸して。」
安室さんが園子に声をかけながらギターストラップに手をかける。
とっさに私は安室さんの肩を叩いた。
「お兄さんも弾けるの?」
「…ええ。」
持ってきたカバンの中からギターをアンプを出して繋げる。
もう1つ、ドラムスティックを取り出して園子に渡して
私の足の動きに合わせてと話すと躊躇うような仕草を見せた。
「大丈夫。ちょっと練習するだけ。」
笑って見せたら園子は覚悟を決めてくれた。
「お兄さんは弾けるなら、大体これで合わせられます?」
注文伝票を裏返して
Em G A 、E C A D N.C 、Em A D
コード譜とは呼ぶに程遠い使うコードの走り書きを見せる。
こんなんで分かってくれたら凄いけどと思ったが
「多分、大丈夫かと。」
できるらしい。
でもそれは私の中で面白くもあり、笑ってしまった。
「じゃ、園子ちゃん行くよ」
足を動かし、それに合わせて園子が3回叩くまで待って歌い初め安室さんに入って欲しいタイミングでピックを動かすとそれに合わせてくれた。
〜
あぁ 真実は誰にも言えないよ
だけどどうしようもない事ばかりで
さぁ突然来る 瞬間を乗り切れ
とにかく今をやるしかない
いつも此処から世界が変わっちゃて
夢じゃない事だらけで嫌よ
探してた答えも正しいかなんて
あぁ毎回 不安だけど
Traveler 時間の
全てに 悲しむことはない
Traveler時間の
流れに 身を寄せ 次はどこへ?
〜
.