第2章 “才能”
“海外旅行”から帰ってきた私は毛利探偵事務所の前を通り、阿笠博士の所まで向かおうとしていた。
哀ちゃんにと買ったお土産に哀ちゃんが喜んでくれるかも興味があり、浮き足立っているかもしれない。女の子の友達ができた様な感覚で、正直嬉しい。
そんな事を考えていると突然、少し離れた駐車場に停めてある白のRX7が視界に入った。
一瞬にして浮き足立っていた気持ちは緊張へと変わった。そっとポアロを覗きかけると安室透がいる。
すぐに射出型ワイヤーを使いこのビルの屋上へ避難するとカランカランというベルの音が聞こえる。
そっと下を見ると安室透が辺りを見渡している。直ぐに見るのをやめて身を隠した。
一瞬だけだったが確実に“探された”気がした。
ビルの屋上伝いにワイヤーを使い、博士の家まで移動する。
博士の家に着く頃にはもう大分体力を使い果たし、息も絶え絶えという状態だった。
ーー博士の家は目の前、あと一回このワイヤーを使えば…!ーー
ワイヤーを伸ばし玄関ドアにかけ、引っ張られる力に身を任せようとした瞬間、博士の家のドアが開き、哀ちゃんが出てきた。
音で気付いたのか、咄嗟にワイヤーを外すがそのせいで私はバランスを崩し、体を地面に擦り付けることになった。
「えっ?なんで!」
慌てた様子の哀ちゃんに駆け寄られ肩から上を抱き抱えられる。
「哀ちゃん大丈夫だった?怪我してない?」
そう言うと怪我してるのはあなたの方じゃないと怒られたが私には傷などなく、大丈夫。哀ちゃんが無事でよかったと笑い、彼女の顔を見る。すると部屋から博士が慌てて出てきて私を抱き抱え、そのまま家に中に進む。
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