第20章 世界
黒いシャツをアウターとして羽織り、インナーには灰色のキャミソールとボトムにスリットの入った服を着ていて脚が時折外から見えていた。
「お待たせ。ブルスケッタ、おいしい?」
1つ摘んで口へ運びながら彼女はボウヤへ問いかけた。ボウヤは子供の顔で元気よくうんと答える。
「ん!確かに美味しい。でもコレだとパルメザン乗せて焦がしても香りが足されて美味しいと思うんだけどなぁ。無かったのかな?うーん。」
此方の事をあまり気にする様子は無く、彼女は考え込んでしまった。
「…我々は何故此方に?」
「ん?」
食べている彼女に話しかけると齧ったまま此方を向いた。
「……その可愛らしい様子をずっと眺めていても良いんですがね。」
珈琲のカップを置きながら頬杖をついて彼女を眺めると彼女はその白い頬を赤くした。
ボウヤは視線を逸らして両手でジュースを飲み、彼女の向こう側からは降谷君が怒っているが、彼から彼女の表情は見えない位置に居る事に優越感を覚え口角が上がる。
「沖矢さんは自分がかっこいい事を自覚していてそういう仕草をするんですか?」
意外な反応を示された。
「…人の感性が全て分かると、言える程落ちぶれてなど居ませんよ。ただ、…そういう発言をなさるという事は…」
彼女に手を伸ばし、まだ乾き切らない髪を掬って口付ける。
「……貴方にとって私はそういう仕草でかっこよく見えると、いう事ですね?」
降谷君から見えない位置で片目を開け、彼女を見据えると赤かった顔が更に熱を帯びた。
その様子に満足して目を閉じると、彼女の後方から
彼女の目を覆うように降谷君の手が伸びて来た。
そのまま、どこを引かれたのか見えなかったが彼女は後ろ手に引かれて降谷君の上に横抱きになる形でストンと座った。
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