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D.World.

第19章 “漆黒”








流石に最新モデルというだけあって乗り心地がまるで違う。
正直、もう少し運転していたかったが10分程度で家に着いてしまった。近くのパーキングに入ると愛車のRX7と並ぶ場所以外停められるところが無かった為、そこに停めた。

キーを椅子の下に入れ、念の為に発信機を仕込んでおく。
盗難対策の為だったが彼女か、あの執事が取りに来るのなら発信機の存在など造作もなく気付き、壊すだろう。
壊されれば取りに来た事が分かる。

家までの距離を歩き部屋に入ると
シンクの内側に昼間採ってきたアサリが視界に入った。

ーー朝、味噌汁に使うか…ーー


そんな事を考えていると携帯が通知を知らせた。
彼女の事かと思い、急いで携帯を取り上げるがそこにはベルモットからの着信画面だった。

「…」


そのまま携帯をテーブルに置き、風呂へ向かった。
数十分後風呂から出ると、発信機が壊れている通知とベルモットからメッセージが届いていた。


『彼女を連れて来なさい。
 場所と日時は追って連絡』


どうしたものかと溜息が出た。
あの船で居る間が安全だとすれば、組織は彼女が今何処にいるか分からないのか。

ベルモットと彼女を一緒に連れてベルモットの使うホテルまで乗せていった事で、彼女と僕は面識があり連れて来れる人間だと思われている事は間違いがない。

彼女がいつ目覚めるのか分からない以上、
今の居所が掴めないのだとベルモットに返信しても
匿っていると疑われるのは面倒だ。

とりあえず保留にするつもりで携帯の画面を閉じ、布団へ潜り込んだ。


薄くなっていく意識の中、今日船の上であった事、話された事を少なくとも、あの2人には話した方が良いだろうなと考えていた。








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