第7章 消費コスト
『まだ…今の…、掛け出しの姫様には…
その辺りに付きましては、
ご理解が難しいかも…しれませんね…。
千里の道も一歩よりと言いますし。
今の姫様に必要な事は、こちらに御座いましたね』
途中までしか引き上げて無かった
いろはの身体に掛かっている掛け布団を
メリーにしっかりと
肩まで掛けられてしまって
これで良しと言いたげに
掛け布団の上からぽんぽんとされると
これではまるで…
寝かしつけされる子供にでも
自分がなった様な
そんな気分にいろははなりながら
メリーのイケボが…
話してくれるお話…聞いていると
その…優しい…穏やかな声のトーンに
眠気を…誘われてしまって居て
ここが…既に夢の世界…みたいなものなのに…
更に…深い…深い
夢の世界にでも…
その声に誘われて行く…ようだ…
ぼんやり…っとして眠気が襲って来て
段々と瞼が重たくなって来る
よしよしとメリーの手が…頭を撫でて来て
『よく頑張られましたね…、姫様…』
ああ…こんな風にして…
誰かに褒めて貰うのなんて
随分と…久しぶりだ…な…
なんてことを 朧気になりつつある
意識に中で…いろはは考えていて
その自分の頭を撫でる
心地のいい温もりに…
メリーの手…温かい…なと…思いながら
そのまま ウトウトと…
いろはの意識は
眠りへと…ゆっくりと…落ちて行く