第16章 行くべき場所へ……
ギュウウウってメリーの腕に
そんな力があるのかって程に
強く…抱きしめられてしまって
「んっ…、メリー…ッ」
『姫様は…、私に…
大人しい羊の皮を被った執事ままで
在らせて下さらない…
おつもりに…ありますか?』
そう…耳元で囁いて来るメリーの声は…
元々メリーはイケボなんだけど…も
いつも以上に低くて男性的で
それでいて…セクシーに…響いて来て
メリーを…異性として
男性として…意識してしまう
こっちは…そんなつもりで…
言って…るんじゃなくて…
メリーのままで居てって
言ってる…だけ…なのに…ッ
「んんっ、メリィ…、
やっ、…違う…のッ。
メリーは…メリーのままで…居てって…
私は…そう、言ってるんだよ?メリーッ」
『ですから…、それが…危険だと…
言って居るのであります。姫様。
姫様が…その様に私をお認めになって、
お許しになればなる程に。
私の…執事の仮面を…貴方は
その手で剥がして行かれているのだと、
その…お自覚を…姫様には
持って頂きたく、御座いますが…ッ』
「だからぁ~、そうじゃないって
言ってるのにぃいいっ。
メリーは、どうして…、
分かってくれないの…ッ?」