第14章 貴方だけの特別なショートコース……***
『…はぁ、はぁ、こんな事…
……自分で言うのも…、あれだけど…ッ。
ちょっと、出し過ぎ…じゃない…?俺』
いろはの胸の辺りに残されている
先程 叶人が残して行った
赤い紫に近い痕の上に
その色を薄めてしまうようにして
修正液で消すように ミナトの手で
白い液体を重ねて塗り付けられる
「あ…の…、ミナト…さん?」
そんな風にしても…
その部分の色が…消える訳ないのに…
『やっぱり…そうだと思ったし。
これ、叶人が残しただけあって。
普通の…キスマークじゃ…ない…か…』
「え?ミナト…さん…、
それって…どう言う…意味…?」
『これは…普通の
キスマークじゃないよ…、いろはちゃん。
俺が、戻って来るまでに…、
叶人とどんな話してたの?
自分の常連客に頼まれたって、
叶人は…こんな事しないのに。
これは…普通の
キスマークみたいに見えるけど…
叶人の所有物の証…と言うか、
”印”みたいな…物だよ…。
いろはちゃんの事を…どこに居ても、
見つけられる様な…感じの…印…』
「でもっ…、私っ
そうして欲しいなんて…頼んでない…ッ」
『いろはちゃん…、彼氏…居ないよね?
昨日の今日で、出来てたりしないよね?』
「そんな…、彼氏…はいません…けど…ッ」
何でそんな事…聞いて来るんだろうって
ちょっと考えてそれからハッとして
そうだった…思い出した
痕…ミナトさんにも…残していいって
そう言えば…言ったんだった…ッ
『痕、残して…いい…って言ってたよね?』