第9章 スライムと世界樹
「ねぇ、メリー。このスコップさ…
クリアな素材だけど、何で出来てるの?
凄いプラスチックみたいに
重さは軽いのにサクサク掘れるよ」
私の世界のスコップは
大体銀色の鉄のスコップだけど
このスコップは何で出来てるのだろうか?
『ああ、そちらのスコップでございますか?
魔鉱石のスコップにございますよ、姫様。
姫様の魔力を消費して掘るのに必要な
効率を上げているだけですので。
簡単に掘れるのは、当然に御座います』
そうしれっとメリーが言って来て
若干の苛立ちの様な感情を感じながら
ざくざくとワザとに大きな音を立てて
その苛立ちをぶつけるかの様に
いろはが硬そうな地面を掘りながら
ニコニコ顔のメリーをギロッと睨んだ
「どうせ、そんな事だろうと思ったしッ、
こんな硬そうな石がゴロゴロしてる地面が
こんな、簡単に掘れるなんて、
おかしいと思ったっ、そう言う訳ねぇえっ」
『はい、ですが、姫様。ご安心を。
この後は、メリーがご用意しております。
もう一つの癒しのシナリオの方が
ご褒美も兼ねまして、残って御座いますので』
そうだった… もう一つあったんだった
温泉の スライム風呂の
あのシナリオが大満足過ぎて
すっかりその存在を忘れていたけど
マッサージの方もあったんだった 忘れてたけど
ざくざくと地面を掘りながら
「ねぇ、メリー、これ、まだ掘るの?」
『ええ、なにせ、世界樹の種ですので、
世界の空を覆う程に成長します故…、
もっと掘って頂きたく御座います』
魔力を使うスコップだからって
普通姫様に野良仕事させる??と思いつつ
まぁ作業が地味なだけで…力要らないから
重労働でも何でもないけど…
言われるままに 地面をスコップでちまちまと掘って
バレーボール位の種が植えられそうな穴を掘ると
メリーが世界樹の種が収められている
ジュエリーボックスの様な容器の
蓋を開いてその中の世界樹の種を
取り出す様に いろはに促して来る