第17章 ボールは友達?の時間
「だけどか…殺せんせー。『だけど』勝ちたいんだ殺せんせー。善戦じゃなくて勝ちたい。
好きな野球で負けたくない。野球部追い出されてE組に来て…むしろその思いが強くなった。
…こいつらとチーム組んで勝ちたい!!」
しかし、杉野さんは顔を上げて自身を反論する。凛としていて真っ直ぐした瞳だ
「…まぁでも、やっぱ無理かな?殺せんせー」
先生の顔を確認すると、明らかにわくわくしていて既に用意周到な先生がいた。野球のユニフォームにボール、グローブ、バット、ピッチャーとバッターの帽子まで
「おっ………………おう。殺せんせーも野球したいのはよく伝わった」
「…ヌルフフフ、先生一度スポ根モノの熱血コーチをやりたかったんです。殴ったりはできないのでちゃぶ台返しで代用します」
「用意良すぎだろ!!」
できなかったら殴るって…昭和だなぁ…
「最近の君達は目的意識をはっきりと口にするようになりました。
殺りたい、勝ちたい。
どんな困難な目標に対しても揺るがずに。
その心意気に応えて、殺監督が勝てる作戦とトレーニングを授けましょう!!」
男子は先生が直々にコーチングするようだ。少しカリキュラムが気になる
当日…
ダムダム…
キュッ
「貰った!」
「あ!」
「ディフェンス回って!!」
<うーん早稲田さん中々うまくならないねー>
<す、すみません>
<だったら別に攻めに回らなくてもいいんじゃない?>
<どういうこと?>
<要はゴールに入らなければいいんでしょ?ならひたすらボールを取る方に専念した方が得策だと思う。チームに一人は必要だよ、そういう要因>
<なるほどね…>
<そうと決まればカットとパスの練習だね!>
『…』
ガッ
ダンッ!
「なっ!!」
「早稲田さんナイス!」
『岡野さんっ!!』
「はいよ!」
ピーッ!
試合は僅差で負けてしまった
「惜しかったね~」
片岡さんが悔しそうに、それでいてやり切った綺麗な笑顔でみんなを励ました
「けど、短い期間であそこまでできたんだもん。上出来でしょ!」
「はい!」
負けてしまったけど、ここまで白熱した戦いに持って行けた。誰も私達をバカにする人はいないだろう