第17章 ボールは友達?の時間
「ごめんみんな…私いっぱいミスしちゃった…」
と、後ろで肩を落とす茅野さん
「大丈夫、大丈夫。カエデも頑張ってたじゃん!」
「女バスのキャプテンのぶるんぶるん揺れる胸元を見たら…怒りと殺意で目の前が真っ赤に染まって」
「茅野っちのその巨乳に対する憎悪はなんなの!?」
『私も…結局ゴール決められませんでした…』
「いやいや、あの戦いは早稲田さんがあってからこそだよ。いっぱいカットしてくれたからこっちにボール回ったし」
「ありゃ敵だったら私でもイライラしてたわ」
「バスケ部取られる度に悔しそうな顔してたもんね。ちょっといい気味!」
『………ありがとうございます。
それと、……私に居場所を与えてくれてありがとう…』
「はは!何そんな神妙そうな顔してるの?」
「クラスメイトなんだから当たり前でしょー」
「ほら、休憩したら男子の応援に行こう!」
自分でも…チョロい人だと思う…
けど……
私は、そのたった一言に…支えられて、救われてるんだよ
「おお~やってるやってる」
「さて、男子野球はどーなってるかな」
速水さんがボードの得点を確認すると…
「!」
「すごい!」
「野球部相手に勝ってるじゃん!!」
皆、手を合わせて喜び合う。だが、すぐ傍にいた木村さんが思わしくないように答える
「あー、ここまではね。
で、一回表からラスボスが登場ってわけ」
経緯を聞くと、最初は先生の指示通り特訓のバントで三点をもぎ取ったらしいが、途中から相手側のコーチ交代。
「…!! 今入った情報によりますと、野球部顧問の寺井先生は試合前から重病で…野球部員も先生が心配で野球どころじゃなかったとの事、それを見かねた理事長先生が、急きょ指揮を執られるそうです!!」
『それが理事長って訳ですか…』
「ああ」
『全く…校長先生ならまだ分かりますけど、たかが経営者なのに一々イベントに口挟んできますね。目立ちたがり精神なんでしょうか』
遠くで落ちたボールに扮した(ていうか頭デカすぎてギリギリバレるだろあれ)先生も焦り気味
『勝つには…まずは様子見ですね…』