第17章 ボールは友達?の時間
「クラス対抗球技大会?」
茅野さんは教えてもらった通りに復唱する。先日の集会の話だ
「クラス対抗球技大会…ですか。健康な心身をスポーツで養う、大いに結構!
…ただ、トーナメント表にE組が無いのはどうしてです?」
先生がトーナメント表の紙を見ながら不思議そうに聞く。その疑問に三村さんは半ば諦め気味に説明をした。
「E組は本戦にはエントリーされないんだ。1チーム余るって素敵な理由で。その代わり…大会のシメのエキシビションに出なきゃなんない」
「エキシビション?」
「要するに見せ物さ。
全校生徒が見てる前で、男子は野球部の。女子は女子バスケ部の選抜メンバーもやらされんだ。
一般生徒のための大会だから部の連中も本戦には出れない。
だから『ここ』で…皆に力を示す場を設けたわけ。
トーナメントで負けたクラスも、E組がボコボコに負けるの見てスッキリ終われるし。E組に落ちたらこんな恥かきますよって警告にもなる」
「なるほど、『いつもの』やつですか」
「そ、でも心配しないで殺せんせー。暗殺で基礎体力ついてるし。
良い試合して全校生徒を盛り下げるよ、ねー皆」
「「「おーう!」」」
そう言ったのは片岡さん。こういう時にみんなを引っ張ってくれる人材がいるのは本当にありがたい
にしても…
『ボールは敵です。怖いです…』
「うん、早稲田さん多分逆」
私に至っては球技はあまり得意ではない。器械運動やダンスなら好きだが。痛くないバドミントンなら例外。烏丸先生にも腕の筋力がないって言われたなぁ。
体力テストのハンドボールの記録8~9メートル
「お任せを片岡さん。ゴール率100%のボール射出器を製作しました」
「あ…いや、律はコートに出るにはちょーっと四角いかな…」
律さんの笑顔に片岡さんは苦笑いで答えた
「野球となりゃ頼れんのは杉野だけど、なんか勝つ秘策ねーの?」
「…無理だよ。最低でも3年間野球してきたあいつらと…ほとんどが野球未経験のおれら。勝つどころか勝負にならねー
それにさ、かなり強ぇーんだ。うちの野球部。
とくに今の主将進藤。豪速球で高校からも注目されてる。
…俺からエースの座を奪った奴なんだけどさ。
勉強もスポーツも一流とか、不公平だよな人間って」
前原さんの質問に杉野さんはうつむきがちに言う