第15章 もう一つの触手の時間
それを聞いた皆はすぐに烏丸先生の姿を探した
木の下で関係者と電話をしていたようだ
「「「「烏丸先生!!」」」」
「ん?君たちか。どうした大人数で」
「あの……もっと教えて下さい!暗殺の技術を」
烏丸先生は磯貝さんの言葉に目を見開く
「今以上に…か?」
「今までさ、結局誰かが殺すんだろうなってどこか他人事だったけど」
「ああ、今回のイトナを見て思ったんだ。誰でもない、俺たちの手で殺りたいって!」
「もしも今後、強力な殺し屋に先を越されたら、俺ら何のために頑張ったか分からなくなる!」
「だから限られた時間、やれる限りやりたいんです!私達の担任を!」
「殺して、自分たちで答えを見つけたい!」
皆が想いを吐き捨てると真っ直ぐした瞳で烏丸先生を見つめた
「分かった……では放課後に追加で訓練を行う。より厳しくなるぞ!」
「「「「はい!!」」」」
「じゃあ早速、新設した垂直ロープ降格!」
皆の「ええ!?」という顔も気にせず先生は始めと号令をかける。戸惑いながらも皆顔を見合わせて笑い、ロープへと向かった
『流されてE組、流されて暗殺…このままでいいのだろうか』
ロープにぶら下がりながら、私は一人、暗い考えを持っていた
「おはようございます早稲田さん」
『先生、おはようございます』
朝、昇降口で先生と会った。
「最近は早稲田さんもHRで発砲してくれるようになりましたねぇ。先生は嬉しいです!」
『はは、みんなに合わせているだけですよ…あれだけ、暗殺に本気なのだから…』
「けどね」
含みのある一言。
「貴方の銃口はまだためらっている。迷いの弾です」
そう言って三つのBB弾を渡してきた。昨日私が発砲できた数だ
「面談の際、貴方はこう言っていた。『期待していないだけだ。世の中にも、先生にも』と。覚えていますか?」
『ええ…』
「皆が歩き始めている中、貴方はまだ留まり続けるつもりですか?」
『……先生はいいひとです。私に勉強の面白さを教えてくれた。
けど、まだこの世のことを信用し切っていない…いえ、絶望しているんです。だからまだ歩けない。
原因は分かっています。ですがどうにかできる気がしないんです。
だからその言葉は…今もそうだと思っています』