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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第15章 もう一つの触手の時間


『あ、先生おはようございます』

「おはようございます早稲田さん」

雨の降る中ぬかるんだ地面を進んで学校へ登校した。傘を折りたたみ、雨水の後始末をして教室へ向かう


「烏間先生から転校生が来ると聞いていますね?」

「あーうん。まあぶっちゃけ殺し屋だろうね」

今日は連絡していた通りもう一人の転校生が来る日だ。律さんと同時に転入させる予定だったがスケジュールの違いで別々になってしまったらしい。この事実からそのもう一人も殺し屋だろうとみんなも予想はつく

「律さんの時は少し甘く見て痛い目を見ましたからね。先生も今回は油断しませんよ」

そう言う先生に律さんはにこっと笑った

「いずれにせよ、皆さんになかまが増えるのは嬉しい事です」

命を狙われる身なのになんて呑気な…
私は呆れながらも口は笑っていた

「そーいや律、何か聞いてないの?同じ転校生暗殺者として」
原さんがそう言うと、律さんは笑顔のまま答えた

「はい、少しだけ。
初期命令では…私と『彼』の同時投入の予定でした。私が遠距離攻撃、彼が肉薄攻撃。連携して殺せんせーを追いつめると」

確かに、律さんの主力はあの乱射。勿論その威力も凄いけどそれだけでは最悪あのスピードには追い付かない可能性がある

『射撃は接近アタッカーがいて初めてその脅威を成しますからね…』

「ですが…2つの理由でその命令はキャンセルされました」

「へぇ…理由は?」

「ひとつは彼の調整に予定より時間がかかったから







もうひとつは、私が彼より暗殺者として圧倒的に劣っていたから」


皆息を飲む。律さん以上、その言葉がどれだけ重みのある事実か

「私の性能では…彼のサポートをつとめるには力不足だと」
『なるほど…』

「そこで、各自単独で暗殺を開始する事になり、重要度の下がった私から送りこまれたと聞いています」




皆が黙り込む。その時を見計らったように扉は開いた

ガララ

入って来たのは全身白い布で包まれた背の高い男。男と分かったのは彼の話声からだ

手をかざし、ポンと鳩を出す

ん?この意味は?

「ごめんごめん驚かせたね。転校生は私じゃないよ。私は保護者。…まぁ白いし、シロとでと呼んでくれ」

彼はのんびりした口調で話すが張り詰めた警戒の空気は消えなかった
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