第9章 見えない戦いの時間
「……今日、浅野理事長来るらしいぜ。噂だけど」
前原さんが少し青ざめて言った
「この学校のトップ…ひいてはこのシステムの考案者だもんな」
「うわ、えぐ〜。会いたくねぇ……」
「なんできたのかなー?」
浅野理事長…この差別化システムを作り上げた張本人。教育と恐怖を結び付けている存在。
『私、あの人好きになれません』
「誰だってそうだろ。会わない内に早く帰ろうぜ」
次の日…
「さらに頑張って増えてみました。さぁ授業開始です」
いやいやいやいや何があった!?マンツーマンとかじゃなくてもう一人につき四人とか
「昨日理事長に煽られたんだって。余程悔しかったみたいだね」
昨日の一部始終を見ていたらしい渚さんが小声で教えてくれた。なるほど、教師としてのプライドか
授業が終わる頃には流石に先生はへとへとだった
「ぜーぜー…」
「………さすがに相当疲れたみたいだな」
「今なら殺れるかな」
「なんでここまで一所懸命先生をすんのかね〜」
「……ヌルフフフ。全ては君達のテストの点を上げるためです。そうすれば…」
あ、起きてたんだ
「『殺せんせ〜!おかげで良い点取れたよ!!』『もう殺せんせーの授業無しじゃいられない!!殺すなんて出来ないよ!!』という生徒達の尊敬の眼差しに加え、『先生!!私達にも勉強を教えて♡』という評判を聞いた近所の巨乳女子大生が私の所へやってくる……
……となって、殺される期限も無くなり先生には良い事ずくめ」
『確かに分かりやすいけど、そもそも地球滅亡企ててる人に自ら教えを乞う人なんていますかねぇ…?』
私は呆れ気味に言った。というか女子大生って趣味がおっさん臭い…
「…いや、勉強の方はそれなりでいいよな」
三村さんの後に続く
「…うん。なんてったって暗殺すれば賞金百億だし」
「百億あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だしさ」
「ニュニャッ、そ、そういう考えをしてきますか!!」
「俺達エンドのE組だぜ、殺せんせー」
「テストなんかより…暗殺の方がよほど身近なチャンスなんだよ」
それがみんなの本音。やっぱり人生お金なのかな…?
「…なるほど、よくわかりました」
「? 何が?」
「今の君達には…暗殺者の資格がありませんねぇ
全員校庭へ出なさい。烏間先生もイリーナ先生も呼んで下さい」