第46章 卒業の時間
数年後…
『茅野さん!早いですね』
「なんか急に行きたくなっちゃって」
かつての旧校舎の前で私たちはお花に手を合わせた
「またあの時みたいにカエデって呼んでくれていいのに」
『…無理です。キャラがぶれるので』
「もー、これだからツンデレひつじは」
『…
そう言う茅野さんは何か雰囲気戻りましたね』
「何をー!?」
『へーんだ』
「『うにゃにゃにゃにゃーーー!!!』」
「何やってんだよ、朝ドラ女優に主題歌」
「…!みんな!!」
『そのあだ名やめて下さい』
今日は、恒例の「手入れ」の時間だ
「カエデちゃんそれ衣装?忙しいのに平気なの?」
「休憩時間に抜け出してきたの。みんなに任せきりじゃ悪くて…」
『私の事務所にはよく遊びに来るくせに』
「いい加減機嫌直して!?(汗」
「まー、しっかしビッグになってね~二人とも」
「そりゃあなぁ
ルックスはいいわ、アクションは出来るわ、30メートルの崖から笑顔で飛び降りるわ、売れねえ方がおかしいぜ」
「いやいや、中学の遺産に頼ってるだけで…岡島君ローアングルから撮ってないで仕事しよっか」
「遊夢さんも今度ドームツアーやるんだろ?」
『はい。茅野さんのおかげで朝ドラの主題歌も順調に売れてますし、うなぎ登りです!』
「それにしても大丈夫だったの?留学から帰って来てからカミングアウトしてたから…あれ結構話題になってたでしょ?」
実は私が日本に帰ってきた時、Mineが仮の姿であることを告発した。配信で一度すっぴんも見せている
『まー賛否両論でしたね。でも私は活動辞めるつもりもないし、マネージャーさんと渚さんにももう話は通してあるので。普通の芸能人に戻ったんだなって感じです。
早いとこ祖父母にも公演に来てもらわないと』
「………遊夢さん、なんか、笑うのうまくなったね」
『そう思ってくれるならよかった』
お墓は作らなくていいってみんな言った。
だっていなくなった気がしないから。
いつだってここは、2人がいるところ。
私達が帰ってくるところ。
『(先生、私まだ迷うことはあるけど…何とか大人やってるよ)』