第46章 卒業の時間
あの後、迅速に報酬の百億円は政府から支払われた。烏丸先生によると先生たちのおかげでちょっと上乗せもされてるらしい。
このお金で人生バラ色…かと思ったが
ーお金が初めからある人生なんてろくな事がありません!きちんと自分で努力するからこそ価値があるのです!ー
だから、
殺せんせーのガイドブックの約束通り、高校、大学分の費用と将来の一人暮らし分、
あと、一つ。大きな買い物をして
余ったお金はきちんと返した。
私は海外留学なので寮費、交通支援費を少し多く貰えた。申し訳ない
椚ヶ丘中学校は生徒に危険が及んでいたことが叩かれ、マスコミにもE組制度が問題視された。その為、E組校舎は私たち限りで閉鎖されることとなった。勿論理事長も経営を畳むことに。
けど”先生”の性だ。きっとどこかで再び学び舎を咲かせるだろう
烏丸先生の話伝えだが、シロ、柳澤は一命はとりとめたものの、もう自分では動けない体になってしまったらしい。触手の兵器化も、器用性に欠けているとみなされ次々にスポンサーが降りていったらしい
「―――爆破されていた月ですが、私立国際天文大学の○○教授によると自らの重力によって形は円に少しづつ近づいていき、爆破の衝撃で軌道も小さくなり、X年後には元の形状に近い形に戻っていると発表しました。同時にそれによって影響される地球の環境の変化についても不安の意を述べています。
続いては来週のお天気です。田中さんお願いし((ブツン」
『へえ…あれ、元に戻るんだ。自然の力ってすごいね~』
お風呂から上がり、自分の髪を荒く拭きながらつけっぱなしのテレビを消した
少し夜風に当たろうと窓を開ける。火照った体には丁度いい
『んー気持ちいい』
見上げれば例のボロボロに崩れた月が変に煌めいている。
私たちの一年の象徴だったその三日月は、
徐々に、その形を忘れてきている
『携帯新しくしてから音信不通になっちゃったけど…
みんな元気かなー』