第46章 卒業の時間
『ン…』
気が付けば私たちは教室の机で寝ていた。先生が運んでくれたのかと願ったが、それは違う。私たちは自分たちの足取りで校舎に帰ってきたのだ。先生の面影を探すために
レーザーはいつの間にか発射されていて、その後は烏丸先生が対応してくれたようだったが私たちにとってはどうでもいいことだった
それでも結局いなくて、それでまた泣いて、
私たちの教室へ戻ると…
生前言っていた通り確かに机の上には一人一冊のアルバムとガイドブック、そして卒業証書が置かれていた
徐にその本を開く。初めは漫画から入る導入の仕方が明らかにあの人らしいなと笑った。
そして、そして段々
鬱陶しくなってきた。
<先生実は作曲もできるんですよ~自信作はこちらのヌルヌル音頭で…>
『(……なんそれ)』
本当に生きているかのように伝えてくることがみっちりと書かれていて…
それが逆に安心したのだろうか、
気づけばみんな、涙を忘れて眠ってしまっていた
目が覚めて窓辺を見ると…
『…!』
少し近づき、窓を一面だけ開ける。
『早咲きの、桜だ』
小さな蕾が、健気に、強く風に吹かれていた
「遊夢ちゃん」
『渚さん…見てください桜が…』
「……ほんとだ。
綺麗だね」
『…あ』
「?」
『ふふ、渚さん目腫れてます。昨日は夜通し泣いてましたもんね、パンダみたい』
「む。それ言うなら遊夢ちゃんだって…」
私の笑顔を見て彼はようやく安心した顔をした
「当初の目的は成功した。しかし、今後君たちは英雄の顔としてマスコミに追われる可能性が高い。こちらもそれなりに対処はするが…この件はむやみに公開しない方がいい。もう少し辛抱してくれ。すまない」
教室に戻ってきた烏丸先生とイリーナ先生から最後の連絡をもらった。
「気にすんなよ烏丸先生!俺達も何となくそうなることは分かってたし」
「でも、
せめて椚ヶ丘中学校の卒業式には出席させて下さい。これも、殺せんせーとの大事な思い出だから」
「…勿論だ。その為に俺達がいるからな」
学級委員長の磯貝さんの号令を合図に全員起立をする
「烏丸先生、イリーナ先生、一年間お世話になりました!!」
精一杯の礼をした