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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第46章 卒業の時間



「大門寺遊夢さん」

先生は番号は変えないでいいと言った。だって仲間だから。 私はずっとE組の30番の遊夢だから。

最後の私の名前が呼ばれた。だから私は笑顔で答えるのだ

『はい。

殺せんせー』

先生の顔が嬉しそうに笑った




「本当に、楽しい一年でした…」







時が来てしまった。もう後悔しても、いや、未練なんて山ほどあるけどやらなきゃならない。私たちは静かに渚さんを見守った。




だが、





「フーッ、…フーッ、…」



彼の様子が変だ。

時間との圧迫感、

自分が果たさなくてはならない責任感、

大事なものを手放すことへの恐怖、
全てが彼にのしかかり、うまく呼吸ができていない


そして、




「うわああああああああああああああああああああ!!」





その刃を振りかぶった





((ピト



柔らかい音がしたと思うと先生の首元から細い触手を伸ばしていた



「そんな気持ちで殺してはいけません。


落ち着いて、笑顔で」




渚さんは暫く涙を流していた。それは果たして悲しみなのか、喜びなのか、いや、あるいは両方なのかもしれない


しかし、最後は顔を上げて笑顔を見せる。

「さようなら、殺せんせー」

「はい、さようなら」


彼はゆっくり、礼をするように

全ての感情を乗せて、








その刃を差し出した









”卒業おめでとう”


最後にそう言った気がした。






先生の体が眩い光に包まれたかと思うと、それは小さな粒子ととなって、空へ飛び立っていった


まるで、蛍だ。

そう思った時に思い出したのは、夏の花火だった。先生が私たちの為に蛍を…


本当に、あの光景に……




駄目だ。

それをトリガーに色々なものが込み上げてくる



ー貴方は死んでも構わないと思っているんですか?ー

ー早稲田さん!貴方のその考え方は間違っている!!自己犠牲で手に入れた自由なんて、本当の解放ではない!!ー

ーそれを聞いたうえで聞きます。貴方が将来やりたいことは何ですか?ー



『ふ…ふぐ………うう…うう…


あ、ああ……あ”…あ”…

うわああああああああああああああああああああ!!』

泣いた。

みんな泣いた。


あの小さな箱庭に、先生はもういない
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