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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第45章 自分たちの時間


「な、何で笑うの!こっちは割と真剣なのに」

『だ、だって…腹立つなんて言葉使うんだって初めて知ったから…』

ムウと口をすぼめる姿はさながらフグだ。あーやだ、お腹痛い

『そんなに気にしてたんですか。私が取られないかどうか』

「……仰る通りデス…///」

『茅野さんにキスしてたんだから貴方も同罪ですよーだ』
「うぐ」

渚さんの背丈がどんどん縮んできたのでそろそろ勘弁してややろう。ごめん揶揄い過ぎたと謝ろうとしたが…



「……お互い、初めては渡せないけどさ…

遊夢ちゃんの”これから”は全部僕が貰っていい?」


耳まで赤くなった彼が誠意の目で伝えた




なにそれ、プロポーズみたいじゃん。って笑ってあしらおうとしたのに…











((ドクン



え?



((ドクン


何だろ、この音



((ドクン




心拍が妙にうるさい





「遊夢ちゃん?」

『渚さん…


私、変だ。』




今までこんなことなかった。渚さんの隣は居心地がよくて、それがただ嬉しかった。それ以上はなにも思わないし、何も望まなかった筈なのに…



『私、欲張りにでもなったのかな?』




欲しいと思ってしまう。




臆病な自分が悔しくて苦しい。









『恋って痛い』












『!』



挟むように塞がれた唇は暖かかった。感触が余りにもソフトでまるで布団に撫でられてるみたい。ちゅ、と軽いリップ音で目が覚めて顔に熱が集まる



わ、私…


今渚さんと……!?





「ごめん、気持ち悪くなかった?」

『は、はえ…////』

さっきまで持っていた痛みはキスの衝動でシャボン玉みたいにパチンと弾けてしまった。そして傷口から甘くブワッと広がっていく。コーヒーに溶け込んだミルクだ、そんな気がした



数秒前に触れられた部分を何度も触ってみる。耳の辺りがジンジンする






「痛い?」

私の言動が挙動不審だったからか、心配そうに笑われた



だから私は素直に答える




『今は…


甘い』












「『("これから"は全部君がいい)』」






   嘘つきピエロはもう消えていなくなった






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