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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第44章 進んでいく時間


そういえば彼は私が好きなのだと渚さん伝えで聞いたことがあった。けれどそれが果たして本当なのか、本人もあんなへらへらした反応だったし、びっくりはしていたけど半ば信じていなかった。

なのに、

今彼にこの鞄の中身の話をするのはなんだか不謹慎な気がしてきた



「俺さ、二人が両片思いなの知ってたんだよね」

『え』

「見ててめんどくさい」


けど同時にうらやましかった。


『…』
「理由は、……分かるでしょ?」

『…ごめん……』

「何で謝るのさ」

本気…だったんだ。でも信じてもらえなくて自分で空回りして…

「いいよね渚はさ。今までああやってバカ正直に生きてきたから本番となれば力を発揮できるから。
俺みたいにひねくれ者には…『そんなことない』


『…そんなこと、…ないよ』

自分で否定しておいて耳が熱くなる…何言ってるんだろ、私。


『……

カルマ君は…



直接何もしなくても、ずっと私のこと見ててくれたじゃん』

「……!」

『それで、本当に駄目な時、私を止めてくれるし励ましてくれた。それの何がひねくれてるっていうのよ』












「……あ”~……

ホント、
狡過ぎ。」


私の体が少し浮いた。着慣れて、少しよれた黒いカーディガンの裾が妙に落ち着く。

「あの時も……
急にキスしてごめん。もうこれっきりにするから。
名前…
もっかい呼んで」


『何度だって呼ぶよ。

カルマ君』

あの広い背中をトントンと叩いてあげると肩が跳ねた。それを紛らわす為なのか首の匂いを吸われた。

訂正。脇腹をつねってやった






渚さんはまだ教室に残ってるらしい。どうやら茅野さんに呼ばれたみたいだ。ならまだ渡せるチャンスはある…!と急いで方向を切り替える。

「渚に飽きたらいつでも言って。浮気相手くらいにはなるから」
『ご遠慮します』








教室の様子を伺おうと身をドアから少し乗り出すとトンと誰かの体にぶつかった


「あ、ごめん」
『あ…』

顔を上げると茅野さんだった。さっきまで渚さんのところにいたはずなのにどうして、と混乱していると察してそっちが答えてくれた


「振られてきた」

『え?』

「渚に」


それってつまり、
言いかける前に彼女は首を振った

「言わなくていいよ。自分でも分かってるから」

『…』
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