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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第44章 進んでいく時間


「ねー遊夢おやつまだ~」
『まだでーす』
「一個貰っていいよね?お願いー」
『じゃあ一個多くあげようと思ってたチョコなしにしちゃおっかな~』
「待つ!!」



「子供の扱いが上手くなったわね」

休日、わかばパークで子供たちのおやつの準備をしていると隣で先生がクスクス笑っていた。


『可愛いですよ、単純で』
「無垢でいいわよね」



「あ、チョコで思い出したけどそろそろバレンタインなのね」

確かにチョコの包装紙それっぽいものに変わってる。

「遊夢さんはクラスの子にあげるつもりなの?」

『え?』

「違った?最近の中学生はませてるしそういうことが一つや二つあってもおかしくないかなーって思ってたんだけど…」

そう言われて浮かんだのは渚さんの笑った表情だった

『いや……
別に、ないわけでもないですけど…///』
「素直じゃないのね」
笑われてしまった…

「ああ、もし作るようだったらここのキッチン勝手に使っていいからね」

『何をですか?』

「チョコレートよ」




ああ、そうか。このイベントで作るのが普通なのか(違います)参ったな、そういうこと一度もしたことないんだけど…











『……持ってきちゃったよ…』


当日、鞄の中にある百均のありがちなピンクの紙袋をこっそり見つめる私。作ったのはいいけどどうやって渡そう。約束とかしてないし…こういうのって呼び出した方がいいのかな?ていうかあの返事もまだ返せてないし…と鞄に顔を突っ込んでブツブツ言ってたら赤羽さんからキモイと言われた

うるせえ。




結局不思議なくらい何事もなく一日が過ぎていった。そうだよね、バレンタインなんて商業企画として取り上げただけの日で普通の日とは何ら変わりないんだから。


とは言えこの鞄の中をそのまま持ち帰るのは自分でもむなしすぎる。と廊下でまた一人で悶々と考え始めてしまうと目の前に影ができた




『……でっか…』
「今更過ぎない?」

見上げると赤羽さんが私を見下ろしていた


「…渚に渡すつもりなんでしょ」
そう言われて慌てて鞄を隠す。彼は別に盗るわけじゃないとけらけらと笑っている。
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