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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第44章 進んでいく時間


小さく手を挙げると周囲の視線が向いた

『あの、推薦とかってしてもいいですか』

「…どうぞ」

『私…赤羽さんと渚さんがいいと思います。前回のリーダーだったってこともありますけど…

私が”殺す”って決めた時、二人とも違う考えを持っていたから。

渚さんはそれは逃げることじゃないって言って、
赤羽さんはたまには逃げてもいいって言った。

けどそれはどっちがいいとかじゃなくて…その、どっちも必要でなくてはならないものなんじゃないかなって。

二つがあれば、何か面白いことができるんじゃないかって…つまり…えっと、只の興味です』

言っていると段々恥ずかしくなって少し早口になる。照れ隠しで苦笑いをして頭をかいてみたけれど。思ったよりみんなの顔が真面目過ぎてちょっと引いた

「……やっぱりさ、ちゃんと話し合おう」
「そうだね」

けどみんなの口元は緩んでいた。否定したわけじゃないようなので安心した











結局あの二人になることになったけど、みんな自分が選んだ選択に納得していた














実行当日、

「ちょ、君たちどこから来たの…」

「私たち迷っちゃってー」
「おじさんについて行ったら戻れるかなーって思ったらここまで来たの」
『ねー、私トイレしたくなっちゃった。一番近いのってどこ?』


私と矢田さん、倉橋さんは現地で観光客の振りをして関係者の動きを散らすことだ。どうやら私は顔だけは無垢に見えるらしい。それこそ渚さんから貰ったぬいぐるみを持っていても違和感がないくらいには。一瞬後ろに目配せをすると侵入班が頷いて行動を開始した









それぞれの仕事が終わったみんなが集まってたった今打ち上がっていった光を真っすぐ見ていた。無事成功した安堵と本当に大丈夫なのかという焦燥で変な気分だ。そんな時、渚さんとした最後の会話を思い出すのだ

『渚さん』

「遊夢ちゃん…」

『あの、とにかく怪我しないで帰って来てくださいね』

「うん。頑張るよ」

『…』

「それ、持ってきてくれたんだ。寂しがり屋なんだね」

『それは…!

…あながち間違ってないですけど///』







「待っててよ」


そう言って私の髪を撫でて笑う彼に首を縦に振ることができなかった。


『自分で言い出したことだけど……二月まで”待て”できるかな…』
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