第43章 ”もういいかい”の時間(重いR)
『…私は…
今まで父の付属品として生きてきました。黙って言うことを聞いていればいい、それが母の生き方だったから。それが正解だと思ってた。
けど、それは間違ってた。
お父さん、
私はお母さんを殺してなんかなかったんだ!!』
「!?」
『お父さんとお母さんが侮辱されたのをきっかけに虐待に近い教育をするようになったのも、お父さんが会社をクビになったのも、私が学校で虐められたのも、お父さんの上司に襲われたことも、お父さんが私に暴力を振るったのも、
お母さんが私を守って、結局自殺したのも
全部私のせいなんかじゃない!
私には今やりたいことがあります。
けど、今までのままじゃ…
私はこの人の子供だって理由で、前を向けなくなる気がして。
もう終わりにしたいんです。
私が罪の鎖を背負う必要は、もうないから。』
お母さん、ごめんなさい
私がここでそう証言することで、
私は…貴方の生き方を否定することになってしまう。
ごめんなさい。
貴方が守ってくれた体なのに…私は奴に負けそうになってしまった。
懺悔の夜はもう死ぬほど長い時間過ごしたの
もう、いいよね。
私が私のことを、許してもいいよね。
”もういいよ”
<罪は、
懺悔し、自分で許すことで、初めて解放される>
「素晴らしい」
「君はもう立派な大人だよ」
思わず会場から拍手が沸き起こった。
別におだてることではないんだけどな…
と悲しい気持ちでそれを受け取った
「…ふざけんな。」
『!』
「恩を仇で返しやがって!!
虐待だぁ!?あれはお前を躾けてやってんだよ!!
いつからお前はそんなに偉くなったんだ!?ろくに稼げもしない癖によ!!
生意気なんだよ、メスガキの分際で。ああ!?」
来るとは予測してた。一度切れると自制できない人だから。私は唇を結んだ。こんな場所で私情の喧嘩なんて意味ないから。ただ馬鹿にされたのは悔しかった
『(いいんだ。黙っていれば。今日で終わるんだから)』