第43章 ”もういいかい”の時間(重いR)
「
あれだけ遊夢ちゃんが大切だって言ったくせに
僕…結局自分のことばっかり考えてた!!」
遊夢ちゃんの体は、生暖かくて、静かに息をしていた。
もう、”あっち側”には行かせたくない
「遊夢ちゃんのこと好きで、誰にも取られたくなくて…それで一人でイライラして…当たっちゃった。まるで僕の母さんみたいだった
でも、
本当に苦しんでたのは…君の方なのに…僕は…
あ、あの…今更何言っても言い訳にしか聞こえないかもしれないけど…」
『…』
僕の体に埋まっている彼女が何も発することはなかった。表情も見えないけど続ける
「僕はずっと好きだよ。遊夢ちゃんのこと。
執着心でおかしくなるくらいどうしようもない男だけど…
だから僕は何も言わない。
押し付けられた分だけ泣けばいい」
僕の服が
ジワリと濡れた気がした
そう言ったのを境に、みんなが次々に回りを囲んできた。まるで集まって暖をとってるみたいでおかしかった
みんなに囲まれながら、僕も静かに涙を流した
「早稲田さん、遺書のつもりで…と言っていましたね」
『…』
「君は今、
生きたいですか?」
『……
うん。』
ボロボロだった体でも、
最後の笑顔はとても綺麗だった
ーあ、ー
ー…何か?ー
ーいや、初めて笑うところ見たなって…あっ、その変な意味とかはなくて…ー
ー…初めてかもしれませんー
ーえ?ー
ーちゃんと、笑えたのー